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2000年 11月〜12月の山口新聞にて掲載 |
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1.はじめまして・・和ちゃんのマイホーム・おもちゃ箱・・こんにちは。この度、ご縁ありましてこの欄を担当することになりました。どうぞよろしくお願いいたします。さて、今回は、設計事務所の仕事ぶりを紹介してみたいと思います。―建主の良きパートナー 私達の一番の仕事は、建主(業界では施主と言います)の良き相談相手になることです。施主さんの希望を理解し、組み立て、図面化することはもちろん、業者さんとの価格交渉、現場の監理と、常に施主さんの代弁者となります。皆さんが住宅を建てようとする時など、ぜひ相談してみてください。よく「事務所に行くと相談料を取られる」とか「そこの事務所で造らないといけなくなる」とか言われますがそんなことはありません。いろいろな業者さんの違いを客観的に説明を聞くことができますし、家づくりのこつを聞くこともできるでしょう。このように目的に合わせて設計事務所を選べるとよいのですが、その情報が十分に伝わっていません。事務所の特色がどなたにもすぐ判るように住宅科、ビル科、など病院の専問科目のような表示があればよいのかもしれませんね。(これからは情報公開にインターネットが活躍しそうです) |
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2.木のおはなし手に触れてあたたかい。いいにおいがする。目に映ればやさしい。こう言えば誰でもすぐ“ああそうだ”と感じられるほど木は、私達の一番身近な建築材料です。日本の気候・風土に適した木の家の心地よさは、他にかえがたいものがあります。しかし、いつの間にか木材は、私達の生活の中から遠ざかってしまっているのではないでしょうか。それと共に木を使う知恵も・・・自然のものには必ず“旬”と言うものがあります。もちろん木にも・・。木の旬とは切る時季のことです。切り旬には夏切り、秋切り、冬切りがあり、8月から3月までの間です。この時季を外れるとカビが出たり、虫が入ったりします。さらに、切った木を十分に乾燥させたり、水に浸けたりして、木の狂いを少なくし、色つやを良くする工夫をしていました。古い建物がいつまでも美しいのは、こうした人々の知恵と工夫によるところです。しかし私達は今、時季を選ばず、短期間に家を造ってしまいます。もう少し気(木)づかいをしてもよいのではないでしょうか。 |
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3.本籍地のある家づくり信光寺(小郡町)の修復工事を見学させていただいた時のことです。修理の監修をされていた下村先生から『お寺が長く持てるのは、地元の木を使っているからです。この地方の気候で育った木だから無理がないですよね。(信光寺は築後300年経っていました)それから造りも京都の様式をそのままでなくていいのです。違う方が地方らしいですよ。』と教わりました。京都の多くの寺院の修復に関わってこられた先生からそう言われて「目からうろこ」でした。今の家づくりにこの《あたりまえ》のことができないだろうか。「木の育った場所(本籍地)と生産者がわかり、家づくりを通して産地と建築主(施主)との交流が図れないかね」と愚痴っていたら「いいねえ、それ!!」と材木屋の若旦那が話に乗ってくれた。それから延々6時間。夢を語る時はなんと楽しいことか。「施主さんの家族の手を引いて山の木を切る現場に連れて行きたいんだよね。あの木をお宅の柱に使うんですよ、なんて言えるといいね」「それで山と人と町の人の繋がりができたら、なおいいのにねえ」・・・。そんなことは少し前まで《あたりまえ》でした。今、そしてこれから私達が目指すことは、その《あたりまえ》のことをしていくことかな。 |
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4.・・これでいいのか・・職業柄、時々メーカーさんの住宅展示場を見学に行くことがある。カミさんと二人で何軒か見て歩く。初めのうちはカミさんも感嘆の声を上げているが、3軒めを過ぎるころから飽きてくる。そして後はもういいと言い出す。こちらは調査のつもりだから、もう少しと思うのだが・・・。外見はいろいろ工夫して変化をつけているが、お化粧の仕方の違いだけで、根本の材料は同じ物。内部も同様に、流し台・風呂釜・便器など、住宅機器に力をいれて奥様方の気を引いている。(なにもこれはメーカーさんに限ったわけではないのだが・・・)建物は、出来たときが完成と勘違いされているのではないでしょうか。お化粧は、時間が経てば剥げるもの。建物の価値は、時間と共に味が出てくるものであるべきだと思う。しかし、私たちはその時間の経過に耐えられる材料を、果たして選んでいるでしょうか。選べない原因のひとつに、世界に冠たる建築基準法が存在することです。更に、業者側の経営論理、そして建て主のニーズと経済的理由。しかしあえて言いたい。住宅は消費財ではない。次の世代へ残していくべき耐久財であると。次の世代が使えるように、そういう見方で材料を選ぶなら、ずいぶん違ったものになるのではないでしょうか。物から心へ。個から環境への配慮をと、機能的な上限が見えてきたこれからの住宅は、その価値観を大きく変えていくことでしょう。 |
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5.気配が透ける子供の頃、家は気配で満ちていた。ふすま一枚、障子一枚の生活だから仕方がなかった。包丁の音が聞こえた。味噌汁のにおいもした。ああ、お袋が起きて、朝御飯の用意をしている、と布団の中から判ったものだった。そして今、大人も子供もそれぞれの個室を持ち、気配を断っている。狭いアパート暮らしをしている時は、あんなに話をしていたのに、念願のマイホームを手にしてから、何となく会話が減ったと感じているのは私だけだろうか。個人を大切に、プライバシーが必要だと、戦後の住宅は、ひたすら個室を求めてきたような気がする。おかげで住宅の間取りといえば、部屋の広さはともかく、1階にLDKと和室、2階に夫婦室と子供室が2部屋という組み合わせの、4LDKが一般的になってしまった。一緒に住んでいるはずの家族は、まるで下宿人を住まわせているように、静かでもの悲しいことになってはいないか。手にとることも、見ることもできないこの“気配”というやつが、実は家を考えるときに、一番必要なのではないだろうか。あまりに合理性を求めすぎ、機能を充実させた結果が、果たしてよかったのか。職人の腕は、道具かよくなるほど落ちていくそうだ。人間のつながりというものも、どうやら同じことらしい。 |
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6.なにがほしいの?家を建てた方、思い出してほしい。今から家を建てたい方、ぜひ考えてほしい。“家”に何を求めるの?皆さんが家を建てようとする時、まずなにから始めましたか。たぶん資金づくりをして、それに目途がたつと、さあ住宅展示場へ・・・そしてアミに掛かってしまう。あっという間にプランが決まり、あれよあれよという間に家は完成してしまった・・・。お心当たりはありませんか?それはそれでいいのですが、あなたは、あなたが建てようとした家に、何が一番ほしかったのですか。それとも“家”そのものがほしかったのですか。「あなたのライフスタイルに合った家づくりをします」と云いながら実は「家」しか売っていない。そうでなければ、どうしてこんなに同じような家ばかり建つのでしょうか。それとも日本人のライフスタイルは、そんなに画一的で、味気ないものなのでしょうか?いやいや、ばかにしちゃいけない。そんなことはないと反論したくなります。そうではなくて、売る側の理論に実にみごとに引っ掛っているだけです。“ライフスタイル”言い換えれば“どう生きるか”。“物”を創る前に、ご夫婦・ご家族でちょっと見つめ直す良い機会ではないでしょうか。自分自身の価値観に気づいたときに、住宅はその表情も内容も、もっともっと個性豊かになってくることでしょう。 |
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7.気持ちいいですか自宅の庭でできた、最初の野菜を手にした時、自然を改めて実感しました。同じように見えても、スーパーで買ってきた物とはどこか違う。このごろ“有機”とか“天然素材”とかが云われ始めています。しかし、農産加工の方に言わせると、もうそんなことは当たり前、“売り”にならないそうです。食べる物にはそれだけ敏感なのに、住まいに対しては、まだまだそこまでのこだわりは薄いようです。室内に使用される建材等から発散する、ホルムアルデヒドに代表される化学物質により、引き起こされるシックハウス問題は、住まいを考えておられる方にとって、大きな関心事になりました。しかし、いざそのときになると、早く・安く・見栄えよくという施工側の理由から(経済的理由も多いが・・)床は合板の化粧フロア、壁と天井はビニールクロスという、お決まりのコースに入っていませんか。・・あなたは、ビニールの服を着て気持ちが良いですか・・。私たちは、自然の材料とつきあうのが、とっても上手だったはずです。高価な物でなくても、本物を選び、うまく組み合わせれば、室内環境はずいぶん人に優しくなってくれます。「部屋はあなたの肌着」として、触れる素材を選びませんか。 |
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8.明るいことはいいことだ?みなさん! 明るい・ナショナル・・のCMソング覚えていますか。この歌を知っている人は、昭和30年前半までの生まれでしょう。(ちなみに私は30年生まれですが)この頃からテレビが普及し始め、この歌とともに、蛍光灯が家も街も明るく照らし始めました。今思えば懐かしい、高度成長時代の幕開けを象徴しています。それ以来、照明は“部屋の隅々まで明るい方がいい”という感覚が、当たり前になってしまったようです。でも、明るくさえあればいいのでしょうか。夏、子供会のキャンプに付いて行った夜、火床の中で小さく燃える炎を囲んで、いつまでも話が尽きないのは、回りが闇でそこだけ明るいからではないでしょうか。部屋だって、明るい場所と暗いところがあった方が、人はつどいやすいのではないでしょうか。テーブルの上だけ灯りがあれば、料理もいっそうおいしく頂けるかな。その光が黄色い光なら、なおいいですね。黄色い光、それは暖かさと安らぎを与えてくれます。それから、照明器具と高さに注意したいです。間接照明は光を柔らかくし、適度の高さが光を影を演出してくれます。照明は、まだまだ工夫するところがたくさんあります。光と影の質にも気を向けたいものです。 |
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9.継ぐ新婚当時、カミさんと些細なことでよく喧嘩をした。お互いの常識が違っていたからでしょう。言い換えれば、それぞれの“家”の文化が違うと言うことなのでしょう。そして今度、自分たちが子供を持った時、親とは別の価値観で子育てをしていると思う。家はそんな一番小さな、そしていちばん大切な“文化”を育む器だといえます。新しい世帯ができると、親たちは隠居部屋なる離れを作り、少し距離を置いて暮らしていた。それは、これから生まれる次の世代を大切にし、それぞれの生活を円滑にするための先祖の知恵かもしてない。近くに住み分けることで、子供は、親から学べないものを、おじいちゃん・おばあちゃんから授かり、そして肉親の死という何者にも代え難い経験をするのです。そこには親から子へ、子から孫へと“継ぐ”ということを自然に学ぶ場があったように思う。“家族”という“家”という絆を大切にした生活の場所、それが住宅の持つ本質のように思う。そのために気配が分かるように、お互い顔を会わせやすいように、気遣いできるように家の仕組みを考えることでのお手伝いをこれからも精一杯させてもらいたい。しかし、いかに器を工夫しようとも、家族にとって一番大事なことは“夫婦円満”かな。 |
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(有)和.建築設計事務所 山口県防府市佐波1丁目6-21-102 TEL:(0835)25-3326 |
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